iPodは何を変えたのか? もしくは被差別音楽のススメ
ソフトバンク クリエイティブ (2007/03/29)
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2001年から始まったiPod、iTunes、iTMSというアップルの音楽業界への参入を追いかけた内容の本だとかいうのはともかく、著者の文章の端々から音楽の趣味というか、スノビズムが漏れ伝わってきて興味深い。
steven levyはコンピュータ系のジャーナリストで1951年生まれのファースト・サマー・オブ・ラブ世代。
著者は、1951年生まれのサマー・オブ・ラブ世代で60年代末のロックを唯一無二の存在として崇めながら、若者の音楽にも理解を示そうとする姿勢を見せるタイプ。この世代のコンピュータ業界の人間としてはごく典型的なタイプ(スティーブ・ジョブス的オルト・エリート)。仕事場でもジーンズをはくことを誇りに思っているタイプだと予想される。
著者が文中で侮蔑、笑いものにしているミュージシャン、もしくは世間でそう受け止められているように示している楽曲やアーティストをメモしながら読み進めた。
・モータウン(「襟付きシャツを」着る連中が好きな音楽。p218)
・「マイ・シャローナ」(ザ・ナック。ブッシュ大統領のiPodの中身で「最低の評価を受けた」p223)
・クリスティーナ・アギレラ(トニー・ブレアが娘に頼んで入れてもらった曲p225)
・カーペンターズ(チェイニーが聴いている音楽「“人には見せられないプレイリストに入っている曲”の定番中の定番だ」p226)
・ジャスティン・ティンバーレイク&マイケル・マクドナルド(「この手の曲は、要するに、僕のプレイリストに入っててほしくないもの」p233)
・ケニーGファン(「プレイリスト共有機能をオフにすることができる」ことを朗報とする人たち。
p235)
・エア・サプライ(「ヘッポコ」p237)
大体馬鹿にされている音楽って日米ともに変わらないものだ。
この本の中で、ロックやオルタナが好きで先鋭的な音楽の趣味の持ち主と信じていた著者が、フリージャズやシュトックハウゼン的な無調音楽を好むある企業の取締役の女性とiPod交換をして、「移動中に聴くには最高の音楽」と慰められて「かなり傷ついた」という告白は笑った(ちなみに著者はその女取締役を“グレイトフル・デッドのドラムソロしか聴かない”タイプと予想している)。
この本によると、ニューヨークには「Lラインの決闘」という地下鉄に乗り合わせた知らない同士の耳から白いヘッドフォンコードをたらした人間たちが、iPodのディスプレーを見せ合い、どっちが趣味のいい音楽を聴いているかの勝ち負けを競うゲームの話があるそうだ。
名刺ジャンケンならぬ、iPodジャンケン。「まだ知名度は低いが成功が約束されているバンド」が勝ちなのだそうだ。そうだよね。音楽とは個人が没入されるためにあるのではなく、本質は逆じゃないか。世界に自分の趣味を誇示するためにある。俺様の大好きなm.c.A・Tをおまえも・聴・け!
好きなアーティストを登録しておいて、関連ニュースだけが読めるナタリーというサービスがあるんだけど、登録アーティストの趣味の良さで勝敗を決めるナタリージャンケンという機能があればおもしろいのに。判定基準はCGMで決めたい。登録数の少ないアーティスト、もしくはアーリーアダプター的な人を判定して、その人が登録しているアーティストを登録していれば高ポイントとか。
スタッフにトラバを飛ばしておこう。

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