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2011年11 月24日 (木)

『ラーメンと愛国』元ネタブックガイド このエントリーをはてなブックマークに追加

ラーメンと愛国 (講談社現代新書)
速水 健朗
講談社
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僕の著書『ラーメンと愛国』、発売一ヶ月。つい先日、増刷も決まり、媒体の書評だけでなくネットでの感想なども多くいただいています。
今回は、参考図書ではなくて、この本のラーメンを軸に日本の戦後史を振り返るという発想の元になったいろいろな本を取り上げたいと思います。つまり、元ネタブックガイドです。

ナポリへの道
ナポリへの道
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片岡 義男
東京書籍
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まず、本の中でも触れた片岡義男『ナポリへの道』。これは、戦後に進駐軍の兵隊がパスタにケチャップをかけたスナックが、戦後日本人の子どもの好物として定着していくという物語から、戦後の日米の関係を見出していくという、片岡義男らしいアメリカの影としての日本を描き出していく一冊。これのラーメン版が『ラーメンと愛国』でぼくがやりたかったことです。

 

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)シンセミア〈2〉 (朝日文庫)シンセミア〈3〉 (朝日文庫)  

「ラーメンと愛国」の冒頭はアメリカの小麦戦略の話で始まります。読んでる人は「あ、シンセミア」と思うはず。阿部和重の「シンセミア」は、パン屋とレンタルビデオ屋が町の権力者として君臨する地方都市を戯画化して描いた長編小説。この小説におけるパン屋は、アメリカの権力の代行者。「ラーメンと愛国」は、ノンフィクションだけどラーメンという小麦食の食べ物=アメリカの影を通した戯画化したラーメンの戦後史をやりたかったんですよ。

菊とバット〔完全版〕
菊とバット〔完全版〕
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ロバート ホワイティング
早川書房
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元ネタという意味で、実際に一番ぱくっているのはこれ。著者のロバート・ホワイティングは、「助っ人外人」として日本に来た大リーガーに取材して、日本の野球の特殊さをおもしろおかしく綴っている。つまり、アメリカから輸入されたベースボールが、日本人の生活の中に組み込まれ、日本人式にローカライズされて定着し、野球となった。この構図は、中国由来の支那そばが、日本式にローカライズされてラーメンになるのと一緒。実は「ラーメンと愛国」執筆中に考えていた仮題は「菊とラーメン」でした。前書きとかは、丸ごとぱくろうとまで考えていた。

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性
小熊 英二
新曜社
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これはタイトルの元ネタ。内容的には真似た部分はないが、とても読みやすくおもしろい本。僕の本では日本が戦争に負けた理由を、生産技術という思想の有無としたが、こちらの本でも日本が戦争に負けた理由が前半で読み解かれる。この本では、日本人の組織の腐敗体質が原因とされる。これは、3.11後にこそ読まれるべき内容。
ぶっかけめしの悦楽
ぶっかけめしの悦楽
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遠藤 哲夫
四谷ラウンド
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これは、国民食と呼ばれるカレーライスのルーツを、インドや英国に求めるのなく、ぶっかけめしという、日本、アジア由来の食文化のルーツに求め、その歴史や文化を追求していくというもの。ラーメンのルーツを中国ではなく、小麦食、小麦の背景にあるアメリカに求めるという発想や、ストレートではない文化史の書き方として、この本の影響を受けています。まさか、著者にツイッター上でディスられるとはね(笑)。

というわけで、『ラーメンと愛国』は、これらの本からアイデアをパクっています。ありがとうございました&お世話になりました。

著書

about::フリーランス編集者・ライターの速水健朗のブログ。ディスコや歌謡曲などについて。

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