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2010年9 月26日 (日)

週休二日制時代の恋愛と合コンと結婚と このエントリーをはてなブックマークに追加

広瀬香美が冬の女王と呼ばれるきっかけは、アルペンのCMソング『ロマンスの神様』(1993年)だったが、実はこの曲の歌詞は、冬やスキーとは全然関係ない。

この歌のモチーフは、合コンである。「♪性格良ければいい そんなの嘘だと思いませんか」「♪友情より愛情」などという歌詞に見られるように、この歌は合コンにおける女性の本音と建て前をネタにしている。

この曲をさらに深掘りすると、`80年代から`90年代初頭にかけて進められた労働時間の短縮という主題も見えてくる。「♪週休二日 しかもフレックス」「♪土曜日 遊園地」という歌詞は、実は、この時代の状況をよく現わしている。

週40時間という労働時間目標が明記されたのは1987年の労働基準法改正が最初である。平日は9時間、土曜日は「半ドン」で午前中だけ働いて、午後はお休みという戦後以来の労働時間の基準がここで明確に変わったのだ。

この労働時間短縮の背景には、日本の長時間労働が不公平競争を生んでいるという諸外国の批判があった。週休二日制、フレックスタイムという欧米で用いられている制度の導入が迫られたのだ。80年代半ばは、まだ週休二日制を導入したのは大企業などに限られていたが、次第に採用する企業も増え、`92年には、国家公務員にも、完全週休二日制が導入され、完全に定着するのがこの頃のこと。学校への導入はもう少し先だけど。

『ロマンスの神様』では、「♪土曜日 遊園地 一年たったらハネムーン」という歌詞が示していたのは、アフター5の合コンから、お休みの土曜日のデートへと発展、それがさらに、新婚旅行へとつながっていくというアフター週休二日制の時代ならではのボーイ・ミーツ・ガール、恋の成就の在り方だったのだ。

おそらくは、彼女たちのハネムーン先は海外だったはずだ。日本人の海外旅行が一般化したのは、バブル景気と言うよりも、プラザ合意以後に急速に進んだ円高と、90年代に入ってからの格安旅行券の値下げ競争の激化によるものだ。(初出は『週刊アスキー』連載「恋のDJナイト」2009.5.12/17号)

ちなみに、労働基準法改正の1987年はリゾート法が制定された年でもある。これに端を発したバブル期のリゾート開発熱は、80年代末の大スキーブームを生み出し、スキー用品業界が急速に成長。それを代表する一企業であるアルペンのCMから出てきた広瀬香美は、まさにウィンターソングの女王としてこの時代に君臨することになる。

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