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2010年5 月17日 (月)

男は黙って第一次産業 このエントリーをはてなブックマークに追加

北島三郎の代表曲に『与作』がある。

この歌の主人公・与作の職業は木こり。「ヘイヘイホー」と森林で木材を生産する木こりは、産業の段階で言うなら第一次産業に分類される。日本の林業は、`64年の木材輸入自由化によって停滞をはじめ、『与作』がヒットした`70年代後半には、木材自給率が過半数を割ってしまった。

与作の妻は気だてがいい。「♪女房ははたを織る トントントン トントントン 気だてのいい嫁だよ」。嫁の職業は機織り。産業の段階で言うなら、第二次産業に属している。

さらに、北島三郎の代表曲である『北の漁場』は、海で漁をする男たちの歌である。

この歌が歌われた`86年当時、日本の漁業は漁業生産量で世界一を誇っていた。だが、そのほんの数年後には中国にその座を奪われてしまった。漁業もまさに第一次産業である。

おわかりのように、北島サブちゃんの世界とは、ひと言で「男は黙って第一次産業」なのである。

サブちゃんの演歌は、古き良き近代化以前の日本社会のイメージを留めており……と解釈してしまうのは、むしろ一周回って時代遅れ。むしろ、いま、時代は第一次産業である。事実、第一次産業はかつてないほどに注目を集めている。

サブプライムの崩壊、リーマンショックによって、90年代以降の金融資本主義、市場原理主義には懐疑的な視線が寄せられている。また、折からの就職難世代の恨み辛みも重なり、いまや農業、林業、漁業は、とりあえず注目を浴びている業界になった。事実、農水省には雇用に関しての問い合わせが殺到したという。

世代交代に失敗し人材不足の農林水産業の利害と雇用難になく若者世代の利害、そして一次産業で雇用を捻出したいという厚労省の利害はばっちり合致したのだ。

とはいえ、そこはお役所仕事。両者の架け橋は、当初思ったほどにはスムーズにいっていない。

有名デザイナーの佐藤可士和に農業従事者を“ファーマー”と呼ばせるキャンペーンを仕掛けたが、もちろんダメである。「オシャレ農業推進」は、ブルータス世代の40代には通用しても、ロスジェネ世代には通用しない。

それよりも、今どきの若者にはサブちゃんの演歌のほうが届くはずだ。ここはずばり、北島三郎を起用し「男も女も黙って第一次産業!」というキャンペーンを展開すべし。今こそサブちゃんの出番である。

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