『紫の青春~恋と喧嘩と特攻服~』感想
美談としてフィルターがかかりまくっているケータイ小説と違って、本当に「本当にあった話」である、北関東のレディース連合の2代目総長の自伝。
ヤンキー色ガンガンの表紙やタイトルだけど、若くして登りつめ、一気に転落し、そこからはい上がり幸せをつかむというジェットコースター人生が綴られる中身は、成功体験、人生哲学本として読めるもの。サブカルチャーの棚だけではなく、恋愛・生き方エッセイの棚にも並べてもらえるといいと思う内容。
1991年、暴走族・レディース雑誌だった『ティーンズロード』誌で人気者になった著者は1975年生まれ。コギャル世代はもう少し下の世代になるので、ちょうどヤンキーとコギャルの狭間の世代ということになる。
紡木たくの『ホットロード』をギリギリ読んでいるであろう、ヤンキー最終世代くらい。そして、まさに東武東上線沿線しか知らない「地元つながり」ライフを過ごしてきており、『ケータイ小説的。』で定義した「ヤンキー」象にずばりはまっている。
「大人になりたい」というメンタリティーも共通で、19歳で結婚、出産、離婚を経験。最終的には4人の子供を持つことになる。ちなみに、1991年に16歳ということは、ほぼ『恋空』の著者、美嘉と10歳違いということになるのだが、この本と『恋空』を併読すると、かなりの共通点が見いだせるはず。
ちなみに、『恋空』を映画やドラマをちょっとだけ見たという人にとっては、「え、あれってヤンキーとか出てきたっけ?」という感じがするかもしれないが、恋人ヒロのお姉ちゃんはバリバリのレディースっていう設定。新垣結衣というキャスティングの時点でかなり美化されているが、本来のイメージなら若い頃の矢口真里が正しいキャスティングだったはずだ。
少女マンガがヤンキーを美化して描いていた時代というのが、紡木たく以降、短い期間だと思うが存在したように思う。今はケータイ小説がヤンキーを美化して描いている時代で、もう終わりそうな気がする。
『恋空』は、恋人が死ぬところで美しいエンディングを迎える。小説だから都合良くできている。だけど32歳の女性の反省を描いた自伝は、ご都合主義とは行かない。確かに、この本は最後に幸せな家庭をつかむというカタルシスは与えてくれる。でも、いろいろ考えさせられる結末だよなあ。小説ではないからまだ人生は続くのだ。
『恋空』との比較ばかりになったけど、自伝としてもおもしろく読ませる内容で、今後個人的にもいろいろと参照することになるだろうなあと思う本でした。本当に感想文。


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