トム・クルーズ映画から学ぶ中二病患者のハローワーク
キムタク主演のドラマは、彼がカリスマ美容師、検事、パイロット、カーレーサーといった具合に、ある種の職業を演じる、職業ものシリーズという見方ができる。そして、こういった一連のドラマの存在が、その時代の職業観に影響を与えている部分もあるのだろう。しかも、最も最近のドラマではついに総理大臣までやってしまった。
こういったひとりの役者がいろいろな職業を演じるという路線は、トム・クルーズが『トップガン』以降に出演した映画群、80年代から90年代に出演した一 連の職業ものをなぞっているのだろう。当時のトムが演じた職業は、海軍パイロット、流しのギャンブラー、バーテンダー、レーサーなどといった感じだった。
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たしかに、僕の世代にとっては、トム・クルーズはちょっと特別な存在だった。友達の部屋に遊びに行くと、『トップガン』のサントラが9割の確率であった。この前、 『R30』に出演していた同世代の高橋歩なんかはトム・クルーズがバーテンを演じる『カクテル』に憧れて自分のバーを作った口。しかも、今でも『カクテル』見てるんだろうな月一くらいの ペースで、と思ってしまうくらいに、当時のメンタリティから抜けてない感じ。
さて、職業もので総理大臣まで成り上がったキムタクだが、この次はどんな職業を演じるだろうか。総理大臣よりさらに垂直上昇していくのだとしたら、考えつくのは、「日本社会を裏で操る闇のフィクサー」しかない。そんな職業は日本のドラマにおいては、『スケバン刑事2』の信楽老以降、描かれることはなかっただろう。
トム・クルーズの職業もの映画路線も、物語としては大抵単純な成り上がりものではあった。若い男が可能性に挑戦して、挫折してみたいな。ただ、それは
90年代の冒頭くらいまで。トム・クルーズの場合、キムタク的に首相に登り詰めるという方向には行かず、加齢とともに方向を変え、自己啓発セミナーの講師(『マグノリ
ア』)やクレーン技師(『宇宙戦争』)など、エキセントリックな職業の方向にシフト。
こういった転向を見ると、ハリウッド映画でもかつての単純な成り上がりが受けなくなってきているのかな、などと思う。しかし、キムタクのドラマは相変わらず、いまだ上昇志向の枠から抜けてない。そこには日本のドラマ業界の感覚の古さを感じる。
社会起業家志向だったり、企業よりもNPOがいいよねというベクトルだったり、自分探しボラバイトな志向だったりと、上昇志向的、杉村太郎的な社会的な上昇移動を志す職業観が流行遅れであることにもう少し自覚的であってもいい。
キムタクの職業シリーズも、社会的な垂直上昇の方に行かず、作務衣にバンダナのラーメン屋とか、そういう自分探し的職業を目指してくれるといいし、日本も終わるよな。


『上昇志向的、杉村太郎的な社会的な上昇移動を志す職業観が流行遅れであることにもう少し自覚的であってもいい。』というところ、おっしゃるとおりだと思います。うがった見方をすれば、キムタクのドラマを観て、違和感、居心地の悪さ、流行遅れの感覚を感じた人は少なからずいたのではないでしょうか。
投稿情報: ta26 | 2008年8 月 6日 (水) 18:06