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2008年7 月26日 (土)

上京物語と『すかんぴんウォーク』 このエントリーをはてなブックマークに追加

カクテル
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久しぶりにトム・クルーズの『カクテル』を観た。今観る方がおもしろい。高校入試の翌日に観に行って以来だから、ざっと20年ぶり。

話は単純な、成り上がり上京ストーリー。

上昇志向の強い若者が、ニューヨークにやってきて、バーテンダーのバイトを始め、先輩バーテンダーのコグランと出会い、彼の指導の下、人気バーテンダーとして成功。しかし、経営者として大成功を夢見るトムは、コグランと袂を分かち、自分の道を進む。やがて別々の立場になった二人は再び出会うが……。

といったストーリーなのだけど、吉川晃司の『すかんぴんウォーク』のプロットに似ていることに気づく。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD17408/story.html

吉川はこの映画の主演で鳴り物入りデビュー。冒頭の東京湾に泳ぎ着くシーンが有名だが、これはおそらく『ゴジラ』へのオマージュだ。ロックシンガーを目指して広島から上京してきた吉川自身のストーリーをなぞる物語でもある。

田舎から大都市へ、上昇志向の強い主人公、とぼけた相棒、というモチーフから考えてみるとアメリカンニューシネマの『真夜中のカウボーイ』がベースになっているのだろう。

『すかんぴんウォーク』はシリーズ化し、大森一樹監督で吉川三部作が制作される。

2作目の『ユー・ガッタ・チャンス』は、大胆な日活の無国籍アクションのパロディ。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD17537/story.html

3作目の『テイク・イット・イージー』は、北海道の小都市を牛耳る男と対決するという、小林旭の“渡り鳥”シリーズのパロディ。『すかんぴんウォーク』が上京成功物語であるのと対になる内容。夢を見て上京を推奨する吉川と、上京して失敗するよりも地元でプチクリ的に才能を発揮した方がいいというイデオロギー対決が物語の駆動力となる。名作。つみきみほのデビュー作でもある。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD17663/story.html

どれもよくできた作品なんだけど、ありがちなアイドル映画以上の評価は受けなかったし、いまだにDVD化すらされていない。

吉川という1984年デビューのアイドルの売り出し方が、実は1950年代の日活スターの焼き直しだったというのは、いまとなっては誰も指摘しない、映画とともに埋もれた事実。

さらに、この3部作には、吉川の相棒役(『真夜中~』でいえば、ダスティン・ホフマンの役回り)として『狂い咲きサンダーロード』でカリスマ的人気を誇る山田辰夫が出演し、好演していることもほぼ知られていない。Wikipediaレベルでは、完全に出演作として数えられてすらいない。

山田辰夫が再評価されることはあっても、『狂い咲き~』止まりで、この吉川三部作での活躍が掘り下げられることはない。夢を見続ける情けない男を演じさせたら、これ以上光る役者はいない。

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コメント

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吉川三部作は、丸山昇一脚本、東映セントラルと言う、黄金コンビで、かなり狙った線で製作されていて、大好きです。丸山氏の屈折と熱き想いもインタビューで呼んで、あっ松田優作との熱い絡みがこんな場所にも滲んでいるんだなと思った覚えがあります。
水球=水泳=広島から泳いでくる=ビッグスターの図式で笑いました。
山田辰夫さんの評価、激しく同意です。このシリーズの影主役で、一番の持ち味、挫折とそれでも引きずる寂しさが最高の演技でした。
最近、鉄道会社のCFで、良き父役で、思い出に浸る演技をしているの見たのには、腰を抜かしましたが・・・。

速水健朗

コメントありがとうございます。丸山昇一は僕の好きな作品を多く手がけている脚本家であることがわかり納得しました。
そう、最近山田辰夫を何かで見た気がしていましたが、CMでしたか。確かに腰を抜かしますね。

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