一番欲しいひみつ道具は「ひょうろんロボット」
この、「ロボットがほめれば」という話は、美術評論家(しずかちゃんのおじさん)に自分の絵をバカにされたのび太がドラえもんにひみつ道具を借りるというストーリー。
ドラえもんが出した「ひょうろんロボット」は、ボタンを押すと「素晴らしい! 素晴らしい!」と絵を褒めたたえるだけのロボット。しかし、この褒め言葉を聞くと、皆その絵が素晴らしいと思いこんでしまう。
この話の最後で、パン屋のおやじが描いた看板に行列ができ、「ひとり三分まで!」と注意されるのは、1974年にモナ・リザ上陸のときのエピソード。このドラえもんのエピソードは、評論家の空っぽな言葉を真に受けて、ありがたがる衆愚社会を批判する訓話になっている。
上野の東京国立博物館で開催されたモナ・リザ展は、4月20日~6月10日の期間中に約150万人が押しかけ、連日大行列という状態でモナ・リザが展示され、立ち止まると怒られる勢いだったという。村上春樹がとしまえんのプールで泳ぐと「泳ぐな」と注意されて、風刺SFのようだと描いていたが、まさにそんな話。
また、ひょうろんロボットは、評論家の場当たり的な言葉で評価が決まってしまう美術界の批判、もしくは、ロボットでも通用してしまう評論家批判としても成立する。ただし評論家にそれほどの権力があったのも今は昔、いまだとランキングや市場原理主義みたいなものにとって代わられている気もする。
小さな頃に欲しかったひみつ道具は「どくさいスイッチ」と「いしころ帽子」だったけど、いまは「ひょうろんロボット」が欲しい。かなり切実に。
いや、実はもう買ったんだけどね。自著と並べて神棚に飾っている。

小学館
売り上げランキング: 26417



コメント