「ミシュラン東京」とケータイ小説
今年の出版界を語る上で欠かせない2大キーワードといえば、「ケータイ小説」「ミシュラン東京」の2つだろう。
ケータイ小説はCGM、チープ革命、総表現社会のまさに申し子。こういったものの良き例として上げられていたWikipediaが失墜し、ケータイ小説だけが浮上した感じ。
これは別に梅田望夫が予言者として無能なんじゃなくて、予想した方向とは逆の斜め45度後ろからいきなり喰らうデッドボールみたいなものが、実は優れた予言なんだろうと思う。集合知を予言したら集合痴になるっていうのは、当てたも同然だ。
さて、そんなチープ革命下の現代の世界からは、権威という権威がどんどん失われて……、と思ったら暮れ近くになってドーンと降臨した「ミシュラン東京」。超でっかい権威きたー。
梅田望夫は次の「中央公論」の連載でこの事態についてなんか書くべきだ。「ミシュラン時代をゆく」というタイトルで。ケータイ小説の時にはちゃんと読んで書いてたからなあ。「細部の圧倒的リアリティ」とかって苦しい時評を。
だけど、この「ミシュラン東京」を権威として受け取っていいのかについてはおおいに疑問あり。「美食の都の地位からパリを引きずり降ろした」云々という宣伝文句は大嘘で、単に母国フランスではもう誰も見向きもしなくなり商売上がったりだから、新しい猟場として日本に目を付けたとも言われている。
しかも結構、地方の本屋で売れているらしいのだ。誰も本当にガイドとして買っているわけではないというのが正解だろう。「ネタ消費」、「つながるきっかけのための消費」の類いだ。
まあどちらにせよケータイ小説の読者と「ミシュラン東京」の読者、どっちが偏差値高いかは微妙なところだろう。
ひとつ来年について予言をさせていただくなら、このミシュランブームに煽られたバカな雑誌編集者たちが、こぞって高級グルメ関係の企画書をがんがん書いたところだろうから、来年はちょっとした権威ブームが来るはず。チープ革命は一旦お休み。
あーむしろ、ゆでたまご先生が週刊プレイボーイで『グルマンくんII世』の連載を始めてくれないかなあ。

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