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2007年6 月26日 (火)

『ダイ・ハード4.0』と情報社会(上) このエントリーをはてなブックマークに追加

Die_hard_arcade ドンパチの派手さしか求められていないハリウッド映画の中で、綿密で精緻にシナリオが書かれていた『ダイ・ハード』の登場はかなり衝撃だった。僕が押井パトレイバーや攻殻SACが好きなのは、SFやロボットだからではなく、ハイテク犯罪をモチーフにしたドラマだからなんだけど、僕にとってのその原点は『ダイ・ハード』だ。

ただ、先日観た『ダイ・ハード4.0』は、上に挙げた作品のレベルに比べるとあれだった。ただのドンパチ映画だった。

とはいえ、“コンピュータに通じたテロリストが引き起こすハイテク犯罪”というシリーズのテーマは引き継ぎいでいるし、現在のテクノロジーや監視社会関連のトピックが盛り込まれているので、そこが良くも悪くもそこが見所にはなっている。

なので、あらすじを追いながら技術・セキュリティ関連の事象などをちょこっと検証してみたい。一応理解の助けのために小説版も参考にしているが、多少映画との違いがあるので、なるべく映画版だけでわかり得ることに絞って書く。

尚、絶対ネタバレするんで、まだ観てない人は読まないように。

 

Diehard2

●まず冒頭、主人公のブルース・ウィリス=ジョン・マクレーンは管轄のNYを離れ、私用でニュージャージーにいる。それがNY市警の上司にはそれがばれてしまう。市警の全車両に探知機が付けられているからだ。小説版によると、GPSではなく、ロージャックと呼ばれる、半径数キロにしか届かない高周波を使ったもので、巡回パトカーを中継する盗難車探知のためのシステムのようだ。

監視社会化。当然、こういった土壌では犯罪者もハイスペック化せざるを得ない。それがハイテク犯罪ものの醍醐味

●同時刻、FBIのサイバー犯罪部のシステムに何者かが侵入する。それが誰の手によるものかを突き止められないFBIは、ブラックリストに載るハッカーた ちすべてを拘引しようとする。ダイ・ハードシリーズでFBIが無能なのは常ではあるが、これは懐かしいケビン・ミトニック対FBIの対決の構図の引用・パ ロディだろう。当時のFBIにも絨毯爆撃以外の戦略はなかった。

●マクレーンはFBI本部の命を受け、若いハッカーであるマシュー・ファレルの拘引に向かうが、その場で銃撃を受ける。マシューは気付かないうちに、サイバーテロ組織の片棒を担がされており、用が済んだため殺されようとしていた。ひとりの天才ハッカーが世界を敵に戦うのではなく、分散して下請けに出す辺りが新しくもあり、オープンソース的(なのか?)。

●マクレーンはマシューを保護し、ワシントンDCのFBI本部まで届けることになる。護送先はFBIのボウマン部長。テーマがテーマだけに『2001年宇宙の旅』のボウマン船長の名から持ってきた可能性はあるが不明。以後、この二人の相棒ものとして物語は進む。

ベストふたりはラジオを巡って喧嘩をする。マクレーンがボリュームを上げるのはCCRの『fortunate son』。CCRは60年代のロックバンド。有名な『雨をみたかい?』という曲があるが、この雨はベトナムに降ったナパーム弾のこと。『fortunate son』もちょっと歌詞を見た印象では、アメリカという国家に批判的な内容の歌なのだろう(英語はまったく読めない)。ちなみに物語は7月3日、独立記念日の前日。マシューはこの歌を古くさいと馬鹿にする。そしてチャンネルをニュースに変えると、マシューは“マスメディアの流すニュースなんて権力側に都合良く塗り替えられた嘘ばかりだ”とわめきちらす。マスメディアの情報は一切信じず、ネットの怪しげな情報を真に受けてしまうネット世代の心性は日米共通のようだ。

●テロリスト側は着々と計画を進める。彼らの狙いは“ファイヤーセール”。これは、ハッカー用語で交通、電気、ガス、水道、通信、放送など国家のインフラすべてをクラッキングすることだという。つまり、これらのインフラはすべてコンピュータのシステムによって制御・管理されており、クラッキング(外部のネットワークに限らず)によって掌握可能な世界になっていることを示す。

●テロ組織が最初に攻撃するのが、交通網。鉄道や航空管制、そして信号のシステムにクラッキングし、それを掌握。すべての信号が青になり、護送中のマクレーンも足止めを食らう。次に攻撃するのが、金融ネットワーク。そして、すべてのモニターにMADムービーによるテロ予告を流す。歴代大統領の演説を編集したMADムービー。すべてのモニターをクラックするというのはちょっと行き過ぎ? せめてYouTubeのすべてのムービーをテロ予告のMADに変えるとかならもっと現実的だったか。

●護送途中、マシューの管轄はFBIから国土安全保障省に変更される。行き先を変え、再度車で移動するマクレーンだが、敵は無線通信の中から「マシュー・ファレル」という言葉を自動音声認識で補足、ただちに居場所を突き止め武装ヘリで攻撃を仕掛ける。この辺は攻殻SACでも、エシュロンを利用して行っていた。 

●この攻撃を回避したマクレーンたちは、次に狙われる場所が、ガスと電気の供給のハブになるウェスト・ヴァージニアの供給施設と気がつく。このシステムは独立したネットワークなので、外部からはアクセスできないため、実行部隊が占拠に動くだろうと、現地へ急行しようとする。

刑事物の常で、その辺に止まっている車を奪おうとするマクレーンだが、最新鋭のセキュリティで守られている。マシューはエアバッグを作動させ、セキュリティ会社と車の間のオンライン回線をひらき、交渉の末、先方の遠隔操作でエンジンを点火させる。米にはそんなセキュリティーサービスがあるらしい。

疲れたので、続きはあとで。


 

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