プロレス下流社会の到来
新日本プロレス入門から3年。まだ25歳の若手選手が、先日引退を表明した。理由はさまざまな発言(コチラにまとまっている)などから予測するほか無いのだけど、基本的にはプロレスに夢が見られなくなったのだ。自分の将来を賭ける場所としてプロレスはふさわしいくないと。安沢(その引退した選手)は料理人となるべく修行するようだ。
怪我などの理由ではなく、業界を見限った形での若手の引退というのはかつてない事態。
他にも新日本プロレスの契約更改全般が惨憺たるモノのようで、半減に近い年俸を提示され離脱を余儀なくされた選手が大量に新日本を離れた(コチラが詳しい)。
プロレス下流社会の到来。
この新日本の窮状とは裏腹に、勝ち組みっぷりを見せつけるのがノア。ノアは去年はドーム興行も成功させ、武道館クラスのビッグマッチもラクラク満員する唯一の団体。
この二極化の原因を突き詰めると、現代の企業の雇用形態の変化が大きく関連しているのがわかる。
新日本プロレス転落の始まりは一連の橋本真也と小川直也の抗争だったと思っている。当時の新日本はオリンピック柔道銀メダリストの看板を背負った小川直也を外から連れてきて、大エースの橋本真也に(何度も)勝たせるというアングルを書いた。プロレスに飽きてきていたファンは、どうもガチっぽい小川に熱狂。小川幻想を植え付けることに成功した。新日本はこの小川をエースに新しいビジネス展開を考えていたのだが、小川は新日本を離れてしまう。
小川という外部からヘッドハンティングで連れてきた人材を橋本という生え抜きの上に配置したことで、エース橋本真也は社内の立場を失い、結局は会社を離れざるを得なくなった。
その後の新日本はヘッドハンティング中心の経営を続けた。佐々木健介、永田裕司を途中で見切り、出戻りの藤田和之やお茶の間で人気を得たボブ・サップなど外部の人材にベルトを巻かせるという、アウトソーシング、使い捨てチャンピオンの時代になる。
大量リストラ後の興行自体も、いまやアパッチやリキプロという外部の人材を使った派遣社員中心のものになっている。
一方のノアは派遣やアウトソーシングに頼らない、頑固一徹終身雇用制。基本的には生え抜きの選手だけを大事にする経営手法で、他所の選手が参戦するときでも必ず中堅の井上雅央と試合をさせノアのやり方をOJTで叩き込むのがノアのやり方。どんな大物だろうが、新日本のようにデビュー戦でいきなり橋本というのは有り得ないのだ。フリー宣言してPRIDEでブレイクした高山善廣がノアに凱旋した際も、休憩開けの6人タッグという有り得ないマッチメイクだった。
この両社の両極端な経営スタイルは、結果として勝ち組、負け組をはっきりさせてしまった。とはいえ、今さらノアのプロレススタイルが楽しめるかといえば、そうでもないのが難しいところではあるんだけど。

新日が安い派遣レスラーだらけになってしまったのは、そうなのですが、その一番の原因は「新日本プロレスの財政危機」だと思われます。実際に、新日は9億円を越える有利子の借金があり、また経常利益も赤字になっていましたが、この原因は90年代の選手給料の高騰でした。
三沢を始めとした選手が全日を離れてノアを旗揚げしたのも、(全日による)不当なまでの給料抑制がありました。今後ノアが迎えるであろう給料高騰に対して、どのような手段がとれるかは、三沢社長の手腕にかかっていますが・・・どこの興行会社も「生え抜きの終身雇用」はしたいが、出来ないのが現状です。
投稿情報: MM | 2006年4 月27日 (木) 05:09