Nシステムとぼくたちの監視社会

高村薫の『レディ・ジョーカー』は現実に起きた“グリコ森永事件”を下敷きにした小説だけど、時代設定はグリコ森永事件の起きた1984年ではなく1995年になっている。
この時代設定を変えたことで生じた問題に“Nシステム”の存在がある。Nシステムは“自動車ナンバー自動読み取り装置”のことで、ざっくり説明すると幹線道路にカメラを設置し、そこを通った車のナンバーを記録することで車を使った犯罪の捜査に利用しようという監視システム。これを使って位置と通過時間と照らし合わせれば特定車両の移動をトレースすることができる。
グリコ森永事件の身代金の受け渡しの際、警察は犯人の車両とニアミスしており、このときまだ開発中だったNシステムさえあれば簡単に逮捕できたのにと悔やむ声があがっていたと言われる。
グリコ森永事件のときに開発中だったNシステムが実際に使われ始めたのは1987年とのこと。当初は役に立たなかったようだが、1992年頃にシステムが刷新され、それ以降は効果を発揮し始める(この辺の経緯のソースはこちら)。
『レディ・ジョーカー』の中では犯人グループがNシステムをかわしながら車を運転するシーンが出てくる。現実の世界の1995年においてはNシステムはいくつかの事件で成果をあげている。まず、その前年の福岡美容師バラバラ殺人事件では、Nシステムと基本的には同じモノであるTシステムが解決の一助を担った。そして、95年の地下鉄サリン事件では、上九一色村を出て東京へ向かった実行犯の動きを警察はNシステムで把握していたという。そして95年のオウム事件での成果が効果のアピールとなって、200億の追加予算で設備が大幅に拡大されたという。
Nシステムの存在が登場するミステリには、高級車の窃盗集団が、Nシステムにかからないようにナンバープレートを付け替えているという描写がある『風化水脈―新宿鮫〈8〉』などがある。あと、『攻殻機動隊SAC』の中でも(2話目だったっけ?)Nシステムは登場している。
なんでNシステムのことを調べたかと言うと、ここのところNシステムの記事を目にするから。
つい先日の仙台・光ケ丘スペルマン病院乳児誘拐事件。この犯人逮捕につながったのが、逆探知で脅迫電話をかけた場所を掴み、その時間にそこを通った車両を特定できたと言うことだったらしい。逆探とNシステムではいまどきハイテク捜査ともいえないだろうけど。
もうひとつ記憶に新しいのは、昨2005年の9月、マブチモーター会長宅強盗殺人事件の犯人が別件での逮捕をきっかけに自供した事件。この犯行を立証する状況証拠のひとつに、当時この二人の車が現場近くを走行していたことがNシステムの記録に残っていたという(下見をしていたらしい)。強殺事件の発生は02年8月。これですくなくともNシステムが3年分のデータを遡ることができることが実証された。可能性としては未解決事件が起きた地域の記録だけを保存している可能性もあるけど。
まあ、Nシステムについてただ調べてみただけなのでオチも何もないけど、アメリカの愛国法みたいな法案が通ってしまったわけでもないのに、あらかじめ監視されている国家ってのはどうかとは思う。
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へ~、そんなシステムがあったんですね。こりゃ監視カメラどころじゃないや。Nシステムか…管理社会はいつのまにか進んでいるんですな。ああおそろしやおそろしや、犯罪なんて出来やしないですよ。
コメント、失礼しました。ではでは*
投稿情報: itoppi802 | 2006年1 月15日 (日) 21:25
返事遅くなりました。犯罪のときは逆に幹線道路をそらせば大丈夫ですよ! あと監視で言えばもっとおそろしいのはエシュロンとグーグルです!
投稿情報: gotanda6 | 2006年1 月18日 (水) 03:47